2011年2月9日水曜日

憲法総論

第1章 憲法と立憲主義

憲法の勉強のスタートは、どの教科書を見ても私たちの基本書と同じように「憲法の意味」とか「立憲的意味の憲法」等という表題から始まっています。なんだかつまらない、早く条文解釈の方に進みたいと思う人もいるでしょう。逆に、このあたりを読み進んで「憲法の理念の素晴らしさに打たれて体が震えた」という人もいるかもしれませんが、中々そうはいかないものです。ですから基本書を読んでわからなくてもかまいません。「字」が読めることと著者が伝えようとする「内容」を「文章」を媒介にして理解することの違いを体験してもらえると思います。さて、ここで再び芦部先生の言葉を紹介しておきます。「憲法学Ⅰ 憲法総論」という本のはしがきには以下のように書かれています。
「最も重要なポイントは、憲法の本質が、内容は立憲的、形式は成文、性質は硬性であることを、歴史的・思想的なパースペクティブを持って統一的に理解することから、学習のスタートを切るべきではないかという事である。そういう憲法の意味、憲法規範の特質と構造を十分に検討しておくことが、具体的な人権問題を解釈する場合にも、統治機構に関する問題点を考察する場合にも、思考の前提となり、展開する論旨に支えとバックボーンを与え、深みを加えることに違いないと考えるからである。その意味で、・・・難しいと感ずる個所もあると思われるが、その筋道だけはぜひ理解してほしいと思う。
憲法はその新奥に達することの難しい学問である。それは、かつて清宮四郎先生が指摘された様に、憲法の規定の大部分は『長い歴史を経た後に、深遠な思想を背景とし、同じく深遠な原理に基づいて、その社会的基盤との関係や、存在の理由をとくと考察したうえで、制定されたもの』であるから、『これらの全てについて行き届いた検討を加えた上でなければ、その真意を掴むことはできない』からだ、と言えよう。・・・自然権、社会契約説、主権、立憲主義、法の支配、法治国家、権力分立、自由主義、民主主義、自由国家、社会国家等々の思想や原理の影響を受け、あるいはそれによって組み立てられている憲法の枠組みを、自己の視点としてよく捉えておかないと、ここの憲法問題の理解が深まらない、場合によるとピントはずれになる恐れもある」。
司法試験委員であり、憲法学者の第1人者であられる芦部先生も憲法の総論部分の重要性を上記の様に述べられています。そのような重要な部分であるということを先ずは認識してください。
ところで、先ずは憲法の意味と言う事から教科書は始まります。ここでは、「立憲的意味の憲法」・「立憲主義」という概念を正確に把握してください。立憲的意味の憲法と言う時には、ある特定の内容を持つ憲法を指しています。1798年のフランス人権宣言16条の「権利の保障が定かでなく、権力分立も定められていないような社会は、いずれも憲法をもつものとは言えない」という規定がこれを端的に表現しているとして有名です。



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