2011年2月24日木曜日

2-3 日本国憲法の成立の法理

1 日本国憲法の自律性
(1)問題の所在
一国の憲法はその国の国民の自由意思に基づいて制定されなければならない。この原則に反して、ある国の憲法制定に他国が強圧的に介入する場合には、内政不干渉の原則、憲法の自主性・自律性の原則違反の問題が生じる。日本国憲法の場合には、前述のように制定過程に連合国総司令部からの強要的要素があったため、憲法自律性の原則に反しないかが問題となるのである。

(2)解決方法
・結論:憲法自律性の原則は、法的には、損なわれていなかったと解するのが妥当である。
・理由
(a)国際法的に見て
i ポツダム宣言は、連合国が日本に対して行った無条件降伏の一方的命令ではなく、不完全ながらも、連合国と日本の双方を拘束する一種の休戦条約の性格を有するものであると解される。
ii この休戦条約は、内容的には、国民主権の採用、基本的人権の確立など、明治憲法の改正の要求を含むものと解される。
iii 従って、連合国側には、日本側の憲法改正案がポツダム宣言に合致しないと判断した場合には、それを遵守することを日本に求める権利を持っていたと解することができる。
iv 条約の権利に基づいて、一定の限度で、一国の憲法の制定に関与することは、必ずしも内政不干渉の原則ないし憲法の自立性の原則に反するものではない。
(b)国内法的に見て
i 日本国憲法の自律性は、前述したように、ポツダム宣言の受諾・降伏文書の署名によって本来条件付きのものであった。
ii この条件の原則を定めたポツダム宣言では、日本国民の自由意思による国民主権の原理あるいは基本的人権の尊重の原理が定められていたが、それは近代憲法の一般原理であり、この原理に基づいて憲法を制定することは国家の近代化にとって必要不可欠であった。
iii 終戦直後の日本政府は、ポツダム宣言の歴史的意義を十分に理解することができず、自分の手で近代憲法をつくることができなかった。
iv これに反して、当時の在野の知識人の憲法草案や世論調査からすると、マッカーサー草案発表前後の時期には、かなり多くの国民が日本国憲法の価値体系に近い憲法意識を持っていたと言え、政府も、帝国議会における審議の段階では、マッカーサー草案の基本線を積極的に支持していた。
v 完全な普通選挙により憲法改正案を審議するための特別国会が国民によって直接選挙され、審議の自由に対する法的な拘束の無い状況の下で草案が審議され可決された。
vi 極東委員会からの指示で、憲法施行後改正の要否につき検討する機会を与えられながらも、政府は全く改正の要無しという態度を取った。
vii 日本国憲法が施行されて以来、憲法の基本原理が国民の間に定着してきているという社会的事実が広く認められる。



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