2011年2月11日金曜日

2 立憲的憲法の特色

(1)淵源
(a)中世における法優位の思想ないし根本法の観念
・中世法優位の思想:絶対的な君主(国王)も従わなければならない高次の法(根本法)があるという考え。近代立憲主義は、中世法優位の思想ないし中世根本法の観念に由来する。
・もっとも、中世の根本法は、貴族の特権の用語を内容とする封建的性格の強いものであった。
(b)近代自然法ないし自然権の思想の影響
・ロック・ルソーに代表される近代啓蒙期の思想によって説かれた、自然権の思想は、
①人間は生まれながらにして自由かつ平等であり、生来の権利(自然権)を持っている。
②その自然権を確実なものとするために社会契約を結び、政府に権力の行使を委任する。
③政府が権力を恣意的に行使して人民の権利を不当に制限する場合には、人民は政府に抵抗する権利を有する、とするものである。
・この、自然権→契約に基づく政府→抵抗権と言う三位一体の思想に基礎づけられて、中世の根本法は、広く国民の権利・自由の保障とそのための統治の基本原則を内容とする近代的な憲法へ発展した。
→このように、「統治に対する法的制限」とそれによる「権利自由の保障」を核心とする近代的意味の憲法は、中世の根本法思想から生成発展してきたものであり、その意味でこれを歴史的憲法概念と呼ぶことができる。

(2)立憲的憲法の形式と性質
(a)成文憲法
・立憲的憲法は、一般に、成文の形式を取る
・理由
①国家の根本的制度についての定めは文章化しておくべきである(成文法は慣習法に勝るという近代合理主義)。
②近代自然法学が説いた社会契約説の帰結
 <社会契約説>
国家は自由な国民の社会契約によって組織され、その社会契約を具体化したものが根本契約たる憲法であるという考え方。この見解では、契約である以上、文書の形にすることが望ましいと言う事になる。
(b)硬性憲法
・立憲的憲法は、その性質においては、硬性であるのが普通である。
・理由:社会契約説の影響による。つまり、社会契約説からは、憲法によってつくられた権力である立法権は根本法たる憲法を改正することができず(それは国民のみに許される)、立法権は憲法に拘束される。したがって、憲法改正は特別の特別の手続きによって行わなければならない、と考えられた。
→ただし、イギリスでは、憲法典は存在せず、実質的意味の憲法は憲法慣習を除き法律で定められているので、通常の立法手続きで改正できる(軟性憲法)。




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