2011年2月27日日曜日

2 日本国憲法の民定性

(1)上諭と前分の矛盾
日本国憲法は、その上諭によると、明治憲法の改正として成立したもの(欽定憲法)である。
しかし、前文は、国民が国民主権の原理に基づいて制定した民定憲法であると宣言してい
る。そこで、この矛盾をどのように解するか、特に、天皇主権を定める明治憲法を国民主権
の憲法へと改正することは、法的に許されないのではないか、という疑問が生じる。という
のは、憲法改正には一定の限界がああああり、憲法の基本原理を改正することは一種の
自殺行為であると考え、明治憲法に関しても、学説上、天皇主権や天皇が統治権を総覧す
るという「国体」の変革は法的に不可能であると考えられていたからである。
(2)8月革命説の内容
この点を説明する最も適切な学説として、次のような8月革命説を上げることができる。
(a)明治憲法73条の改正規定によって明治憲法の基本原理である天皇主権主義と真っ向
から対立する国民主権主義を定めることは、確かに法的には不可能である。
(b)ポツダム宣言は国民主権主義を取ることを要求しているので、ポツダム宣言を受諾した
段階で、明治憲法の天皇主権は否定されるとともに国民主権が成立したと解される。つ
まり、ポツダム宣言の受諾によって法的に一種の革命があったと見ることができる。
    (c)もっとも、この革命によって明治憲法が廃止された訳ではない。憲法の条文はそのまま
で、その意味が、新しい建前に抵触する限りで重要な変革を被ったと解されなければなら
ない。
(d)従って、日本国憲法は、実質的には、明治憲法の改正としてではなく、新たに成立した国
民主権主義に基づいて、国民が制定した民定憲法である。ただ、73条という改正という
手続きを取ることによって明治憲法との間に形式的な継続性を持たせることは、実際上
は便宜で適当であった。
(3)8月革命説批判
(a)ポツダム宣言を受諾したからと言って、直ちに天皇主権主義が崩壊し、国民主権主義が
確立したのではなく、ただ明治健保いを国民主権主義の憲法に改めることを日本が「債
務」として負ったにとどまる(帝国議会審理の段階における、国務大臣金森徳次郎の解
釈)。
(b)天皇が債務を履行するために改正の限界を破る改正案を帝国議会に提出し、審議の過
程で「日本国憲法」を制定するという主権者たる国民の意思が議会を通じて顕現した。

3 日本国憲法無効論とその批判
(1)日本国憲法無効論
・①説→現行憲法は、その制定手続と内容から見て無効であるとする説
・②説→現行憲法は、占領下では効力を有するとしても、占領終結によって失効すべきもの
であるとする説
・①説、②説の根拠→日本国憲法は、占領という異常事態の下で、しかも、占領軍の圧力に
屈して制定されたものであるから、国際法(ハーグ陸戦条約付属の陸戦規則43条)に反
する。
(2)批判
・ハーグ陸戦条約は、交戦中の占領軍にのみ適用され、我が国の場合は、交戦後の占領で
あり、原則としてその適用を受けない。
・仮に適用されるとしても、ポツダム宣言・降伏文書という休戦協定が成立しているので、「特
別法は一般法を破る」という原則に従い、休戦条約(特別法)が陸戦条約(一般法)よりも優
先的に適用される。

<参照条文>
ハーグ陸戦条約付属の陸戦規則43条
「国の権力が事実上占領者の手に移りたる上は、占領者は、絶対的支障なき限り、占領地の
現行法律を尊重して、なるべく公共の秩序及び生活を回復確保するため施しうべき一切の手
段を尽くすべし」




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