2011年2月16日水曜日

1-5 立憲主義と法の支配

1 法の支配
(1) 法の支配の意義
・専断的な国家権力の支配(人の支配)を排斥し、権力を法で拘束することによって、国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理。中世の法優位の思想から生まれ、英米法の根幹として発展してきた基本原理である。
・「国王は何人の下にもあるべきではない。しかし、神と法の下にあるべきである」(ブラクトン)
<法の支配として重要なもの>
① 憲法の最高法規性の観念
② 権力によって犯されない個人の人権
③ 法の内容・手続きの公正を要求する適正手続き(dueprocess of law)
④権力の恣意的行使をコントロールする裁判所の役割に対する尊重
→アメリカ型の場合は特に違憲審査制

(2) 「法治主義との比較」
「法の支配」の原理と類似するものに、戦前のドイツの「法治主義」ないし「法治国家」の観念がある。この観念は、法によって権力を制限しようという点では、「法の支配」の原理と同じ原理を有する。
もっとも、戦後のドイツでも、ナチズムに対する反省から、法律の内容の正当性を要求し、不当な内容の法律を憲法に照らして排除するという違憲審査制が採用されるに至っているため(形式的法治国家から実質的法治国家への移行)、現在の法治主義は英米法に言う「法の支配」の原理とほぼ同じ意味をもつようになっている。

<ワイマール憲法について>
1 ワイマール憲法の成立
1914年に始まった第一次世界大戦は1918年にドイツが降伏して終了する。1917年にはロシア革命が起こり、ソビエトという社会主義国が成立していた。マルクスの母国であるドイツも社会主義に進むか、これを阻止するかが重要問題であった。結局、1919年8月14日、ドイツは国民主義と自由主義を掲げ、かつ、一連の社会歴条項(社会権と社会国家的公共の福祉)を採用したワイマール憲法を制定して、資本主義の枠内での社会国家化を目指した。
2 ワイマール憲法の崩壊
ヴェルサイユ条約の下でワイマール憲法は敗戦と外国の圧力によって押し付けられた屈辱的なものとして攻撃され、1929年に端を欲する世界恐慌の中でナチズム台頭の独裁を許してしまい崩壊して行った。
    経済の壊滅的混乱と失業者の増大の中で1930年議会の選挙が行われ、共産党は54議席から77議席に、ナチスは12議席から107議席に飛躍し、1932年の解散総選挙ではナチスは230議席で第一党となる。ヒンデンブルク大統領のもとで短命な弱体内閣が入れ替わって政権を担当していたが議会そのものが立法機能を果たすことができなくなって、1930年以来大統領の緊急命令による立法が常態化していたが、1933年に大統領はヒトラーを首相に任命した。ナチスはこうしてワイマール憲法の手続きにしたがって政権に就いたのである。その後、ヒトラーは1933年にはいわゆる授権法(民族およびライヒの困難を除去するための法律)が制定され、この法律は文字通りライヒ政府に法律制定の権限を与えるためのものであった。ここにワイマール議会制民主主義は崩壊した。
3 ワイマール議会制の崩壊
(1)制度的要因
① 完全比例代表制
これにより小政党の議会への登場が容易になり、共産党及びナチスと言う左右両極の政党の議会進出を可能にしてしまった。また、小党分立により議会が審議討論による立法機能を果たすことができなくなった。
② 大統領の強大な権限
大統領の直接公選制の下で大統領は首相任免権や緊急命令などの強い権限を持ち、議会制民主主義を崩壊させていった。
③ 憲法の敵にも自由を与える徹底した自由主義
憲法に反対する自由を与え、憲法と議会制を徹底的に攻撃することを可能にしてしまった。

★カール・シュミットとハンス・ケルゼンの論争
シュミットは徹底した議会制民主主義否定論者であった。議会制は民主主義と相反する制度であり、真の民主主義は、国民の歓喜と拍手喝采すなわちアクラマチオ(acclamatio)によって担われる独裁であることでナチスを擁護した。
これに対してケルゼンは現代の議会制は民主主義と不可分に結びつくとし、徹底的な議会制民主主義者擁護論者として憲法を守ろうとした。ケルゼンによれば議会制は自明の真理が発言すべき場ではなく、諸利害の妥協調整のための社会技術的制度なのである。根底には価値相対主義的な世界観がある。

(2) 現実社会的要因
①ドイツでは立憲主義の確立期を経ないで外見的立憲主義であったため、議会制民主主義が定着していなかった。そこへ共産党とナチスの両方から攻撃されてしまった。
②ビスマルク憲法下での法実証主義の思想の影響で、「法律でもお菓子得ない人権」の観念が根付いてなかった。

4 ワイマール憲法体制化への反省からのボン基本法の特徴
(1)比例代表制に対する歯止めとして5%条項
(2)大統領の権限の名目化
(3)憲法忠誠の思想(憲法に反対する自由を認めない)



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